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| 振動障害研究センターの紹介 |
| |あゆみ|活動|社会活動|診断機器|振動障害の解説|プロジェクト研究|業績| |
| あ ゆ み |
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| 振動障害研究センター長 |
| 那須 吉郎 |
日本サーモロジー学会副理事長
日本整形外科学会認定医
日本産業衛生学会指導医 |
当院における振動障害への取り組みは1970年(昭和45年)から始まり、それ以降、チェンソー、削岩機などの手持ち振動工具の使用労働者を対象に、振動障害の検診、診断、治療を行なってきています。なかでも、診断には特に力をいれています。
病院組織として、1988年(昭和63年)に振動障害診断治療研究部を院内標榜で立ち上げ、2004年4月(平成16年)には、労働福祉事業団から労働者健康福祉機構へと組織の改変に伴い、同機構の直属の組織として、振動障害診断治療研究部から振動障害研究センターに名前の変更と同時に運営方法も変更になりました。当院は、同機構の12疾病13研究分野の中で、振動障害部門を担当し、プロジェクト研究の責任施設として活動を継続し現在に至っています。
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| 活 動 |
振動障害は手指の冷感やレイノー現象(蒼白発作)の現れる末梢循環障害、手指のシビレや痛みなどの感覚障害の現れる末梢神経障害、骨や関節が変形する運動器障害からなる3障害から構成されます。したがって、肘から末梢にみられる障害であります。
この3障害を示す自覚症状のいずれをとっても、振動障害特有、つまり、振動障害だけに見られる症状はありません。したがって、鑑別診断としては除外診断を行うことが重要となります。症例によっては、他科の応援も必要となることもあり、大病院のメリットを生かし、他科の協力により確定診断が可能な例もあります。
振動障害の予後調査結果では、レイノー現象は軽症の段階では消失する可能性がありますが、ストックホルムスケールで症度Ⅲになると、改善する可能性は極めて低くなります。末梢神経障害と運動機能障害は治療による改善は期待できません。したがって、末梢神経障害と思われる症状が、経過観察中に改善したり、目に見えて悪化するといった症状の変化があったり、治療中に症状が改善するような時には、他疾患の存在が強く示唆去れますので、鑑別診断が重要であります。
レイノー現象では、強皮症の初発症状はレイノー現象と言われています。このような例のレイノー現象の原因が振動曝露であると考え、振動障害の治療を続すれば、予後は極めて不良な強皮症となります。また、頚部脊髄症由来の手指の感覚障害を振動曝露由来と判断し、保存療法を継続すれば、適切な治療では改善するものが、一方的に悪化し、時には手術的治療の適応を逸することにもなりかねませんので、注意が必要です。正しく診断するためばかりでなく、労働者のQOLを高めるためにも、鑑別診断が重要であります。
振動障害研究センターでは検診活動のみならず、振動障害の病態に関する臨床研究、診断に関する研究も積極的、継続的に行っています。現場に出かける一次検診活動は行っていません。検診活動は来院していただいた上で行っています。診断では、厚生労働省通達の二次検診項目を含め、より詳細な検査項目を追加し実施しています。その他の当院の主なる活動は、業務上認定で疑義のある症例に対して九州、四国・中国地区を中心とした各労働局から依頼された症例の鑑別診断を行っています。
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| 社会活動 |
長年の経験、知識、技術をもって他の病院、営林署、労働基準局および労働基準監督署に対する指導を行っており、当センターは振動障害の疫学的研究を除いた部門で、検診機関、臨床的研究機関、教育機関として日本における振動障害の代表的な施設であり、その地位を守るべく努力を行っています。
また、当センターでは設備、技術を有効活用し、各種動脈疾患、静脈疾患の診断、中枢神経機能の電気生理学的診断も行っており、心臓カテーテル検査や脳外科の手術等のモニタリングを含めて当院における臨床生理機能検査部門としての役割も担っています。 |
| 診断機器 |
| 末梢循環機能は主として着衣量、室温、気流等の測定時の環境条件の影響を強く受けるため、測定環境を整備することが重要な問題でです。当院の最も特徴的設備として、室温、湿度を自由にコントロールできる人工気候室があります。振動障害の末梢循環機能検査に対する特殊な装置として、strain
gauge plethysmograph(Medimatic 社製のDM2000、HvLab社製のMulti-channel plethysmograph)、サーモグラフィー、レーザードップラ血流計、末梢神経系に対しては、Nicolet社製のViking
Ⅳ(誘発筋電計)、日本光電製のニューロパック、Neurotron, Inc.製のニューロメーター、HvLab社製のTactilo-vibrometerおよびThermal
anethesiometer等を使用しながら、末梢循環障害および末梢神経障害の診断法を確立しつつあります。 レイノー現象の診断ではstrain
gauge plethysmographを用いた局所冷却による指動脈血圧の変化の測定が有効であることを、振動障害プロジェクト研究結果として報告しました。
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| 振動障害の解説 |
| 主任研究者 那須 吉郎 振動障害研究センター長 |
| 研究成果(労働者健康福祉機構) |
1.末梢循環障害
末梢循環障害の自覚症状は、初期には寒冷時の手指の冷えから始まり、進行につれ、レイノー現象が出現するようになります。振動障害の自覚症状の中で、最も特徴的な症状はレイノー現象です。これは寒冷期に全身が冷えた時に、指動脈が強く収縮し、手指の血行が一次的に遮断され、手指の皮膚の色調が一過性に、蝋燭の色のような状態に陥いる現象です。このことから、いわゆる「白ろう病」として知られています。レイノー現象の持続時間は数分であり、長くても15分以内に、自然に消退します。また、同じ様な環境条件下でも常にレイノー現象が誘発出来るとは言えないことから、カラー写真等による客観的な確認が困難なことが問題となっています。
末梢循環障害の診断は、自覚症状と機能検査としての安静時及び冷水負荷テストによる皮膚温測定、爪圧迫テスト、指尖容積脈波、熱画象、レーザードップラ血流測定などで行われています。しかしながら、それらのテスト結果の評価にあたり、測定環境条件の他に、そのテストそのものが有する問題点から、データーの持つ価値に優劣が有ることは否定できません。
診断面で最も重要な点は、振動障害の比較的特有な症状であるレイノー現象の有無を確認できる検査法があるか否かであります。冷水負荷テストはレイノー現象に対する診断精度が低いという問題のほかに、検査施行時の血圧上昇や疼痛の問題があり、高齢化社会においては問題のある検査です。それらの問題を解決し、より苦痛が少なく、より的確な診断法としてヨーロッパでは既に主流の検査法として国際的にも認知され、かつ振動障害のレイノー現象の有無の判定に客観的判断基準となる局所冷却による指動脈血圧の変化の測定(FSBP%)があります。当院では、昭和57年に、この分野の研究発表を行いました。労働者健康福祉機構の平成16年から平成20年の期間、第1次5か年研究開発計画によるプロジェクト研究の振動障害分野の研究開発テーマとして、「末梢循環障害の他覚的評価法としてのFSBP%(Finger Systolic BloodPressure %)」を取り上げ、レイノー現象に対する診断精度、 室温条件の変化がFSBP%に及ぼす影響、 年代別や喫煙がFSBP%に及ぼす影響を中心に検討しました。末尾に記した文献の中で、3編の原著論文 が振動障害研究センターの研究成果 として公表したものあります。
2.末梢神経障害 末梢神経障害の自覚症状は手指の感覚鈍麻、痺れ、痛みが中心であります。この手指の感覚鈍麻、痺れ、痛みは、一般的な疾患による手指の感覚鈍麻、痺れ、痛みと大差はありません。差があるのは、原因が一般的な疾患であれば、適切な治療で改善する可能性が大であるのに反し、振動曝露が原因であれば治療効果は期待できないと言った面です。これは、振動曝露による症状は、末梢神経線維の脱髄性変化が中心的であるため、治療効果は期待できず、症状が改善することを期待でないことによるものであります。この点が大きく異なる点です。以上のことから、鑑別診断が際めて重要であることが理解できるでしょう。
診断は痛覚閾値、振動覚閾値の測定、電気生理学的所見に基づいて行います。感覚機能はある強さの刺激に対して被検者が認知するか否か応答(force choice法)で調べますが、恣意的な応答が介入する可能性を排除できないことから、客観性に欠ける検査法です。PCを利用し、偽刺激と真の刺激をアトランダムに発生し安定した応答を求めたり、
刺激の強さを上昇・下降させ、得られた結果の平均値と標準偏差値の大きさから、恣意的な応答を区別する方法(ベケシ―法)など、測定器側の進歩がみられるようになってきています。残念ながら振動覚閾値検査ではすぐれた検査装置が市販されていますが、痛覚閾値検査では、まだ、開発されていません。
3.骨・関節系の運動器障害
自覚症状は肘関節、手関節の疼痛と可動域制限、握力低下、手指の巧緻性の低下です。肘関節、手関節の疼痛と可動域制限はレントゲン撮影で客観的に、ある程度評価できますが、握力低下、手指の巧緻性の低下に対しては客観性をいかに担保するかが問題となります。鑑別診断が問題となります。 |
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| 労働者健康福祉機構の振動障害分野におけるプロジェクト研究 |
1.第1次5カ年計画 労働者健康福祉機構の平成16年4月から平成21年3月末までの、第1次5カ年計画による振動障害分野におけるプロジェクト研究では以下の研究課題で研究開発を行いました。
研究課題1 :
末梢循環障害の他覚的評価法としてのFSBP%
(finger systolic blood pressure%)
労働者健康福祉機構の平成21年4月から平成26年3月末までの、第2次5カ年計画による振動障害分野におけるプロジェクト研究では第1次5カ年計画で積み残した課題を含め、以下のような研究開発テーマとしています。
2.第2次5カ年計画による振動障害分野におけるプロジェクト研究
平成21年4月から平成26年3月末までのプロジェクト研究で、現在、進行中です。
研究課題1 :頚部脊髄症、頚椎性神経根症、絞扼性神経障害、糖尿病が
FSBP%に及ぼす影響に関する研究
研究課題2 :振動障害の末梢神経障害の客観的評価法に係わる研究 |
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| 振動障害研究センターの業績 (2004以降) |
| 1.学会発表 |
Nasu Y and .Kurozaw Y. Diagnosis and prognosis of vascular injuries caused by hand transmitted vibration in Japan. 2nd International workshop -Diagnosis of injuries caused by hand-transmitted vibration in Goteborg, Sweden, 6-7 September, 2006
Nasu Y and .Kurozaw Y. Influence of peripheral neural disturbances and cervical myelopathy on FSBP%: an experimentalstudy. Proceedings of 11th International Conference on Hand –Arm Vibration June 3-7, Bologna, Italy 2007 P81-86
Nasu Y and Kurozaw.Y. Multicenter study on finger systolic blood pressure (FSBP) test for vibration induced white finger :Age effect on FSBP test. 15th Japan Conference on Human Response to vibration.. August 1-3 ,2007 (Kobe)、Proceeding pp78-86
Nasu Y. The loci of the clinical research for Vibration Syndrome in the San-in Rosai Hospital.16th Japan Conference on Human Response to Vibration. 4-6,August,2008 (Yonago) Proceeding pp1-12
Tateno M, Nakajima R,Yoshikawa K , Fukumoto J, Takemura S, Yoshimasu K, Miyashita K,
Miyai N, Nasu Y, Maeda S. Fundamental Study of Vibrotactile Perception Threshold On Japanese - Vibrotactile Perception Threshold Using New Measurement Equipment. Canadian Acoustics 39(2):64-65,2011:
Fukumoto J, Maeda S, Takemura S, Yoshimatsu K, Nalajima R, Tateno M, Yoshikawa K, Miyai N, Nasu Y, Miyashita K. Fundamental Study of Vibrotactile Perception Threshold On Japanese, Effectiveness Of New Equipment To Diagnose Workers Exposed to Hand-Transmitted Vibration. Canadian Acoustics 39(2):70-71,2011:
Takemura S, Maaeda S, Fukumoto J, Yoshimatu K, Nakajima R, Tateno M, Yoshikawa K, Miyai
N, Nasu Y, Miyashita K. Measuring Condition Of Cold Provocation Tests; A Review Of The
literature Canadian Acoustics 39(2):72-73,2011:
那須吉郎、藤原 豊、本間浩樹、梁井俊郎、豊永敏宏、木戸健司、池田天史 橋口浩一、黒沢洋一. 労災災疾病等13分野研究の報告「末梢循環障害の他覚的評価法としてのFSBP%(finger systolic blood pressure%)」第55回日本職業・災害医学会。2-3,10 ,2007(名古屋)
那須吉郎、橋口浩一、黒澤洋一、石垣宏之.「 FSBP%に及ぼす頚部脊髄症の影響第」56回日本職業・災害医学会.7-8, 11.2008.(東京)
那須吉郎、橋口浩一、黒沢洋一、石垣宏之 「手根管症候群がFSBP%に及ぼす影響」第57回日本職業・災害医学会(21-22,11.2009、大阪医科大学)
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| 2.原著論文 |
Nasu Y, Kurozawa Y, Fujiwara Y, Honma H, Yanai T, Kido K, IkedaT..Multicenter study on finger systolic blood pressure test fordiagnosis of vibration-induced white finger. Int Arch Occup Environ Health. 81(5):639-44. 2008
那須吉郎、藤原 豊、本間浩樹、梁井俊郎、豊永敏宏、木戸健司、池田天史 橋口浩一、黒沢洋一 末梢循環障害の他覚的評価法としてのFSBP% (Diagnostic
accuracy of FSBP% for vibration-induced white finger)日本職業・災害医学会会誌(2008)56:13-27
Yutaka Fujiwara, Satoshi Yoshino and Yoshiro Nasu.SimultaneousObservation of Zero –Value of FSBP% and Raynaud’s Phenomenon during Cold Provocation in Vibration Syndrome-Case Study-.J Occup Health 2008;50:75-78
Nasu Y, Kurozawa Y. Influence of peripheral neural disturbances andcervical myelopathy
on FSBP%:an experimental study. Proceeding of 11th International Conference
on Hand-Arm Vibration, 2007, page81-86 |
| 3.出版物 |
| 那須吉郎 「振動障害の理解のために」 発行元/独立行政法人 労働者健康福祉機構、平成21年9月発行 |
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